みちのく潮風トレイルコラボツアー

去る11月2日、みちのく潮風トレイルのコラボツアーが牡鹿半島地域を舞台として開催されました。

以下、当日のレポートをお届けします。

対話工房は地元の女川町ネイチャーガイド協会のサポートとして大六天山コースに参加しました。多くの方の協力と参加の元、当日は快晴に恵まれ素晴らしいツアーとなりました。


大六天山コースは、山頂の三国神社を目的地に、針浜側の登山口から登るルートです。大六天山は最近まで針浜地区と山を挟んだ横浦・高白地区の人々から信仰を集めていた山であり、特に沿岸部で操業する漁民の人々にとっては、天候を占う山として、そして極楽世界のシンボルとして大切に敬われてきました。


また女川町の歴史文化の調査で関わって頂いた山田創平さん(社会学者/地域研究家)もコースにまつわる歴史や文化面のコースガイドとして、要所ごとにお話をして頂きました。

10代から70代までの幅広い年齢層の参加者の皆さんも興味深く耳を傾けられていました。


ルートの所要時間は3時間ちかく。総勢50名近くのパーティーとして山間から時折海を臨みながら山頂をめざしました。

大六天山の山頂から広がる眺めは、太陽の下で神々しく輝く霧の雲海の絶景。参加者の誰もがその景色に息をのみました。

Dコースのガイドリーダー青砥さん(女川ネイチャーガイド協会理事長)が静かにつぶやきました。

 

「この景色を見てほしかった」

 

わたしたちは、どれだけ人に見て欲しい大切な風景を持てるのでしょうか。あるいはその景色の前で語り合える時間を過ごせるでしょうか。それらが多ければ多いほど、人生は豊かに深みのあるものになるのかもしれません。

参加者の皆様にもこの日のこの風景がそのひとつに加わわれば嬉しいです。

 

情報と意味に溢れる現代、誰もが手軽に「絶景」をみたような気分になり、他者とも話を交わした様な錯覚を覚える今だからこそ、同じ空気を肌で感じ、笑顔を交わし互いを励ましながら、一筋の道を共に歩む山歩きが各地で脚光を浴びているのかもしれません。自然という人智を越えた「意味のない世界」の中を歩き、火を囲み、星を眺める中で、人それぞれに意味を見いだし、物語を紡ぎだしていく。そしてそれは「道」(トレイル)という形となって人と人を、土地と土地をつないで行くのでしょう。

 

みちのく潮風トレイルもそのような道として、私たちの社会や自然をつなぎ、愛される道になっていくことを願っています。

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